これも下書き放置していたので完成していなさそうだが取り敢えず公開。
友達と観て二人とも高評価だった映画。
※ネタバレありの感想は下の方にあります。
評価:91/100
美しい終わり方。
面白いと噂のこちらの映画。
面白い上しかも復讐物とのことで(復讐物の小説を書く参考になるので集めている)観ましたが……これは面白い……!!
DVDも持っていたいクオリティ……!!
ざっくりおすすめポイントをいうと
・ストーリーが面白い!
・登場人物が基本みんなやさしい
・始終ハラハラするしダレるところがないので飽きない
・終わり方が綺麗(ストーリー的な意味でも、文学的? にも)
辺りですね。
演技も素晴らしいですが(息子とか終盤の表情がもう……)。
ネタバレを踏む前に是非とも観るべき映画。
できればナチスについて知らない方が楽しめると思いますので、ナチス関連の勉強をいつかするだろうな、という方はする前に観た方がいいでしょう。
設定としてはちょっとクリストファー・ノーラン脚本&監督の『メメント』みたいな感じですね。
『メメント』は十分毎に記憶を失いますが、こちらの主人公・ゼヴは眠る度に記憶を失います。
(※実際の認知症は眠ったら忘れる、という病気ではありませんが、映画のゼヴはそういう設定になっています。
映画を観て認知症は眠る度に忘れるのだ、とは思わないでくださいね!
この映画のゼヴはそういう設定なだけです。
実際の認知症とは異なるのでそこに不満点を抱く方もいらっしゃるかもしれませんが、まあ漫画でいう、〝現実ではよっぽど条件揃ってない限り爆発しないけど漫画の中ではよく爆発する粉塵爆発〟のようなもので、それっぽい理屈とファンタジーを混ぜる、フィクションではよくある手法ですのでそこはスルーしていただけたらと思います。
現実世界を描いているのに全部ファンタジーだと噛み合わないですしなんでもありになってしまう、かといってリアルに寄り過ぎても〝現実世界が舞台だけどちょっと特殊なお話〟、はかけないんですよ……)
眠る度に記憶を失う、というと設定的には西尾維新の『掟上今日子の備忘録(忘却探偵シリーズ)』の方が近いですね。
まあゼヴは『メメント』の主人公と同じく妻を亡くしているし復讐物なのでやはり『メメント』が近いのですが。
似たような設定ではありますが、『メメント』とは演出から人間の描き方からかなり違う作品です。
あらすじとしては
主人公のゼヴは九十歳のおじいちゃんで認知症患者。
老人ホームの個室で暮らし、息子もいる。
但し妻が死んだことを憶えていられず、眠りから目覚めればすぐに妻のルースを探し求める。
看護師が朝食の会場に案内すると親友のマックスが話しかけてくる。
二人きりで話すとマックスは約束を憶えているか、と。
なんでもルースが亡くなった時に二人は誓ったのだと。
『我々の家族を殺した
』
というわけでゼヴは復讐の旅に出るわけですが……。
なにせ九十歳のおじいちゃん、しかも認知症。
もう歩き方からしてよぼよぼで……!!
心配で心配でしょうがない。
息子が捜索依頼を出しているので、クレジットカードを使うとバレるし、病院に運ばれてもバレるし、警察に身元割れてもバレるし、復讐相手を殺すための銃を携帯しているのがバレるのも不味いし、下手に寝ると全部忘れちゃいそうだし、そもそもおじいちゃんだからゼヴより更によぼよぼのおじいちゃん相手にしか勝てねえ……。
もう始終ハラハラする。本当に。めちゃくちゃ心配。
ただ、この映画不思議なくらい登場人物に嫌なヤツがいない。皆親切。
ゼヴが混乱してキレても、子どもまでやさしく冷静に対処する。すごい。
皆ゼヴを心配して助けてくれようとするんですよね……本当にやさしい……誰一人ゼヴに冷たくしたり馬鹿にしたりする人間がいない……いやまあ例外といえば例外は二人いるのですが、ソイツも完全な悪とはいえないので。
あ、でもあそこのもたもたしちゃうシーンだけは周りの人皆冷たかったかな……口には出していないけど目が冷たい……のでちょっと心が痛いですね……。
まあでも人間的しんどさは二ヶ所くらいで、後はやさしい人ばかりなのはストレスが少なくていい。やさしいせかいはいい。
『It~それが見えたら終わり~』に関しては開幕二十五分くらいの登場人物の圧倒的口の悪さで脱落したので本当にこういうのは有り難い。なるべくみんなやさしくあれ。
ストーリーとしては始終ハラハラするしダレるところがないのがいいですね。
ハラハラがよぼよぼで認知症のじいちゃんだからっていうのがある意味特殊ですが……。
うーん、ネタバレになるので詳しく書けないですが……。
でも本当に、ストーリー的にも、ラストの主人公の台詞もいいので観て欲しいですね……。
ラストの主人公の台詞は絶対字幕版の方がいいので字幕版をおすすめします。
というわけで大変おすすめでした!
これは★5!!
以下、ネタバレありの感想。
字幕版だと「覚えている」なんですが、吹き替え版だと「思い出した」なんですよね~このシーン。
いやタイトルが『手紙は憶えている』で、なにも憶えられない、憶えていないゼヴがラストで「覚えている」っていって銃で自分の頭を撃って死ぬの最高過ぎでは???
余りにも綺麗な終わり方……。
後友達がいっていたのですが、ジョン・
を殺すシーン。初めて銃を使う、しかもよぼよぼのおじいちゃんなのに見事に胸を一発、さらに頭を一発。
すごいおじいちゃんだと思ったものですが、あれは元軍人だからか……と。
確かに……記憶には無くても身体が覚えてる……。
疑問点としては、マックスが仇だって見せていた写真ってあれオットーの若い頃の写真なんかな、ほんとに。最後にオットーって書いてた写真見せられたけど。自分の顔……。
まあ妻の死も忘れるし自分がオットーだったことも忘れているので自分の若い頃のかおなんて忘れているだろうけど……。
でもマックスは顔写真見せて、ゼヴはそれを憶えていたわけだよね?
一人目の時「横を向け」とかいって顔を確認していたし。
手紙には写真を添付してはいなさそうだったが……うーん、マックスに直接見せられた顔写真だけ憶えていたのか?????
そんなこともなさそうだけどなあ。
一人目のところに着く前に記憶を失っているしねえ……。
というか若い頃の写真で今の老いた姿の仇を見てわかるのか? という疑問もある。
写真は謎。
マックスって四人の内誰が本当の仇かまでは多分知らなかったんだよな?
とにかくどいつかがクニベルトだとわかってて、でもどいつかがわからない。っていう感じだったのかな。