『恋愛小説家』(字幕版)
視聴した日:2021/11/20
監督:ジェームズ・L・ブルックス。
主演:ジャック・ニコルソン
公開:1998年(アメリカでは1997年)
視聴時間:2時間18分
製作国:アメリカ
個人的評価:70/100
もう一度観たいか?:腹立つところはあるけどこれは観てもいい
評価について:これは確かに面白い。
まあ、キャラに対してところどころ思うところはあるのだが。
エンターテイメントな映画としてよくできていて、いいと思う。
Huluには無かったです。Amazonには有料レンタルで299円でありました(2021/11/20)。
『「感情」から書く脚本術』で結構出てくるので視聴。
ネタバレのないあらすじは、
「変人にして強迫性障害の恋愛小説家・メルビンはウェイトレスのキャロルに恋をする。しかしメルビンは潔癖症で酷い毒舌家で、度々キャロルを怒らせてしまう。果たしてメルビンはキャロルと恋人になれるのか?」
という感じです。
ストーリーのネタバレ(白文字なので反転してください)。
「変人で強迫性障害(潔癖症)でものすごい毒舌家の恋愛小説家・メルビンは行きつけのレストランの店員であるキャロルが好き。だけど酷い毒舌家で強迫性障害のメルビンはいつも他人とトラブルを起こし、キャロルや隣人の画家・サイモンやその友人にして美術品を売るフランクとも喧嘩する。
サイモンが大怪我をしたため飼い犬のバーデルを預かる羽目になり、犬と打ち解ける。
犬はまた引き取られ、かなしみながらピアノを弾くメルビン。更にキャロルが店を辞めると他の店員から聞き、キャロルに給仕して欲しいというも本人は休み。思わず怒鳴ると店のマネージャーに追い出され、周りの客からは拍手までされてしまう。
メルビンはキャロルの住所を調べ訪ねる。キャロルは非常識な人だのどうしてここまできたのだのいい、メルビンは君に給仕して欲しいという。キャロルが休んだ理由は息子の病気だった。
メルビンはキャロルにも追い出される。
しかしメルビンは息子の病気で苦労しているキャロルのため、出版社の伝手を頼って名医をキャロルの家に。
医者が家にきていると感情的になり、何処へあの子を連れて行ったのと先生に詰め寄るキャロル。トイレから帰ってきたスペンサーは先生を「いい先生だよ」と評する。
血液検査を看護師にお願いする先生に、キャロルは「まさか今日中にわかるの?」と鼻で笑うが「そうですよ」と先生は当然のように答える。大喜びするキャロルの母。
先生とキャロルと母親で話をしたところ、今まで息子のスペンサーを診ていた保険医はヤブなのが判明。きてくれた先生は名医。検査にも費用がかかりますが、ユドール氏(メルビン)が払うので心配ないと。
一方サイモンは破産し、絵が売れず怪我も酷く精神不安定に。家も手放すことに。
怪我をしていて意気消沈のサイモンに世話係? の女性がメルビンに犬の散歩を頼み、メルビンは快諾。他にもサイモンの家のカーテンを開けてあげてなどというが、バーデルは好きでもサイモンはどうでもいいと思っているメルビンは手酷く断る。
キャロルはメルビンをイカレた男だといい断りに行こうとするが、母親は「子どものことを考えて! 靴下のプレゼントみたいに突き返さないで!」と説得。
犬の散歩にきたメルビンはサイモンを励まそうとするも、度々していたゲイ差別を交えた毒舌で全く励ましになっていないため、サイモンは「面白いんだろう? お前は人間の中でも最低の男だ」という。
そんなつもりじゃなかったとメルビンは事件後サイモンの傷だらけの顔が怖いのか近寄らなくなった愛犬バーデルにどうやって自分に懐いたかを教えようとポケットのベーコンを取り出しサイモンに渡すが、バーデルはメルビンの方へ行き、愛犬にも裏切られて「出てってくれ」というサイモン。
キャロルはどうしても気になり、夜中にメルビンの家を訪ねる。
しかし礼をいいにきた訳ではないという。
メルビンにどうして医者を送ってくれたのかと訊き、「君に給仕して欲しい」とメルビンが答えるも「信じられると思う? 下心があるんでしょ? 私はあなたとは絶対に、絶対に寝ないわ! なにがあっても!」と宣言。
そんな心算はなかったものの、流石に傷付くメルビン。
差し入れのスープを持ってサイモンの家に行き、話をして少しだけ打ち解ける二人。
キャロルはずーっとお礼状を書いている。シッターがいるから出かけなさいと母親がいうもお礼状を書かないとと頑な。
息子の体調がよくなって心配を余りしなくてもいいようになり、ロクに恋愛ができていない自分が惨めで、バスにいたカップルにも嫉妬してしまうと泣くキャロル。
母はキャロルを励まし一緒に出掛けよう、人並みに出かけるのよ、といって一緒に外出。少し気が晴れるキャロル。
行きつけのレストランでフランクと会話するメルビン。
ゲイであるサイモンは父親から嫌われていて絶縁状態だが、友人に頼んでも借金はできず、ボルティモアの実家に頼みに行くしかない。
一人は無理だが自分は他の売れっ子作家のところに行かなければならないので運転をしろとメルビンにいうフランク。
フランクに冗談はよせというも、給仕にきたキャロルが「ここを離れてドライブ? 私なら飛びつく話だわ!」というので気が変わり、じゃあ運転してやる、明日出発するんだな、というメルビン。
その後キャロルも一緒にボルティモアに誘い、なんとか承諾。
三人でドライブするが、キャロルはサイモンとばかり仲良くなってメルビンは面白くない。
ゲイだからと父親に失神するまで殴られ手切れ金まで渡されたというサイモンの身の上を聴き、間接キス(自分の唇に手を当て、相手の唇に当てるアレ)するキャロル。
ホテルに着き、息子から「サッカーでゴールを決めたんだ!」との電話があってはしゃぐキャロル。うれしさの余り「ダンスはどう?」というもサイモンには疲れていて駄目だと断られ、メルビンとダンスホールのあるレストランに行くことに。
行く前にシャワーを浴びるメルビンだがめちゃくちゃ時間がかかる(潔癖なので)。
やっとこさレストランに着くも、男性はタイと上着が必須。店の貸し出しも洗濯されていなかったのでスーツ店に行き買ってきて、ようやくテーブルに着く二人。
メルビンの毒舌でキャロルは席を立とうとする。引き留めるメルビンに、「私の気分が直るような褒め言葉をいって!」と要求され、「あの日の夜から(絶対に寝ないといわれた日)強迫性障害の薬を飲むようになった。いい人間になりたくなった」といい、キャロルは満足する。
そしていい感じの雰囲気になりキスまでする二人。
「どうして私を旅行に誘ったの? いって。私の答えは〝イエス〟だから」とキャロルは微笑むも、メルビンはどぎまぎして心にもないことをいってしまう。
怒ったキャロルはとうとう先にホテルに帰ってしまう。
ゲイのサイモンに性的に襲われることはないと、メルビンの顔を見たくないからサイモンの部屋に泊まるキャロル。サイモンから見える状態で風呂に入ろうとするキャロル。
キャロルの美しい背中を見て、絵を描く意欲が戻ってきたサイモンは次々にキャロルの絵を描き、二人は仲良くなる。
翌朝、バスローブ姿の二人にメルビンは「セックスしたのか!」と怒鳴るが、キャロルは「抱き合ったの。セックスよりいいわ!」と答え、メルビンの前でイチャイチャした雰囲気を出す。
メルビンはサイモンが実家に行っている間の五時間はキャロルと二人きりなのだから仲直りしよう……という話をしようとするも、サイモンは実家の母親と電話をしたのみ。
自分で解決できそうな気がするから実家に行くのはやめるといい帰ることに。
メルビンはフランクと電話でサイモンの仮住まいの話をし、サイモンは何処だと訊くが「重要か?」と返すメルビンに「いいや。何処でもいい」と強がる。
メルビンと元サイモンのアパートに着き、メルビンがキャロルを送って行くというも断るキャロル。もう傷付きたくないから今日限り、と。
サイモン「送って貰えよ」
キャロル「いいわ。あなたを愛してる」
サイモン「僕も」
などとメルビンの前でイチャコラする二人(友人としてとはいえ)。
メルビンの部屋に入り、サイモンが「フランクに仮住まいの場所を訊こう」というも、「ここに住むんだよ」というメルビン。バーデルも既にいた。
空き室に案内するメルビン。そこにはサイモンの絵や画材など必要なものが揃っており、きっちり整えられた素敵な部屋になっていた。
驚き感動し、お礼をいうサイモン。メルビンは躊躇いながら、手袋越しながらも「ごゆっくり」といってサイモンの肩を叩く。
キャロルは家族にお土産をあげて楽しそう。
その後、メルビンに電話があり、バーデルが懐き過ぎるとここを出て行く時困るとメルビンの部屋にきたサイモンが電話を取った。
相手はキャロルで、サイモンがキャロルからというとすぐに犬を連れて出て行ってくれといい出すメルビン。
キャロルは酷く当たり過ぎた、あなたとは楽しかったけどムカつくことが多過ぎる、でもあなたが親切なのは確か、あなたがまともになってから会いたい、といって電話を切る。
かなしみの余り「聞きたいか?」と大声を出し、「死にたい」とまでいうメルビン。
それは彼女を愛しているからだとサイモンは指摘し、どうして死にたいんだといい、メルビンは「わからない」と混乱する。
サイモンは彼女を愛しているんだろう、君はラッキーな方だと励まし、すぐにでも会いに行くべきだ、思い切って本心をぶちまけろとと焚き付ける。
メルビンは言葉通りに深夜のキャロルの家を訪ね、何故きたのかと尋ねるキャロルに説明しようとするも変なことをいってしまい、「どうして普通のボーイフレンドになれないのよ!」と叫ぶキャロル。
「完璧な恋人なんていないのよ」とつい口を出してすまなそうにまた家に戻るキャロルの母親。
キャロルは家の中に誘うも、ここは息苦しいから散歩しようと提案するメルビン。
「朝の四時に散歩なんて普通じゃないわ」とキャロルは返し、「口実が必要なら角のパン屋がそろそろ開く。焼き立てのパンを買おう」というので承諾するキャロル。
二人で散歩をし、メルビンが恋の歌の歌詞引用して口説くも、強迫のため妙な歩き方をしてしまうメルビンを見て「やはり無理よ」「あなたは私のことをなんにも知らないわ」いうキャロル。
メルビンはキャロルのいいところをいって、「君が世界最高の女だと僕だけが気付いている。それが誇らしい」「そんな気持ちは迷惑かな?」という。
キャロルは「いいえ」と答え、抱き合いキスをする二人。
散歩を続け、丁度パン屋の灯りが点く。
パン屋に入り、パンを選ぶ二人」でEND。
映画には詳しくないのですが、名作と名高い……のかな?
Amazonのレビュー数も多いしそうなんでしょう。
自分がいくつかの映画を観た中で「その映画がよかったかどうか?」というのは「先ず最後まで観られたか(観る気が起きたか)」というところなのですが、これは最後まで観られましたね。
「2時間18分もあんのか……」と観る前に思いましたが、飽きずに2時間18分観られました。
主演はジャック・ニコルソン。
Amazonのサムネで眼鏡をかけている姿を見て、最初は「『クリミナル・マインド』のケビン!?」と思ってしまいましたが、あちらはニコラス・ブレンドンでした(そして事件とか起こしていたらしくかなしい思いをした)。
ジャック・ニコルソン、名前はなんだか聞いたことがあるような気がしたのですが『カッコーの巣の上で』や『シャイニング』の人らしい。そりゃ映画に疎い俺が知っていてもおかしくない。
さてこの映画、飽きずに観られたとはいえまあそんなにいうことはなかったりします。
一番うまいと思うのは、「メルビンの恋がどうなるか最後までハラハラできた」ところ。
これで最後まで観られたのだと思います。ネタバレ含めると大体こういう感情の流れ。↓
「メルビンは確かに「そんなこというなよ……」と止めたくなるようなとっても嫌な人間ではあるけども、バーベルを預かって打ち解ける姿に「あらかわいい」と思わされ、バーベルが引き取られてピアノを弾きながら泣く姿に「かわいそう!!(いや元々サイモンの犬だけど!)」となり、キャロルの給仕を失ったメルビンがつい声を荒げてマネージャーに追い出され周りの客から拍手喝采までされる姿に「かわいそう!」となり、キャロル(とスペンサー)のために名医を手配し医療費も全額持ち、親切にもバーベルの散歩をするもサイモンにまたもゲイ差別の毒舌をして責められ(これはほんとメルビンが悪いんだけど)バーベルがメルビンに懐いているために(こっちは悪くないのに。サイモンの心境からすれば仕方ないけど)「出て行ってくれ」といわれ「かわいそう」となり、夜中にきたかと思えば一言もそういうことをいっていないのに「あなたとは絶対に絶対に寝ないわ!」とキャロルに宣言され「かわいそう」となり、三人でのドライブもいい雰囲気になるも毒舌でキャロルを怒らせてしまうので「いい雰囲気じゃん!」となったり「いやお前そういうこというから……」とハラハラしたりし、サイモンとキャロルに目の前で五回くらいイチャコラされ「かわいそう……」となり、サイモンの部屋がものすごくいい部屋になっていて「いいやつじゃん……」と感動し、キャロルからの電話が酷かったりでも望みはあったりで、サイモンがメルビンを励ますところで「サイモンいいやつじゃん……」となり、キャロルに「普通じゃない」といわれてうわあああとなったり、またいい雰囲気になったり……」
何回「かわいそう」いうねん、って感じですが本当にかわいそうなんですよ…………。
つまり、嫌なヤツだと思ったメルビンが段々かわいげのある人間、いい人間、そしてかわいそうな人間に描かれてメルビンの恋を応援したくなってしまうのですよね。
そしてストーリー的にはいい雰囲気になったり毒舌でキャロルを怒らせたりとその甘いと苦いを行ったり来たりでハラハラさせられる訳です。
『「感情」から書く脚本術』(途中までしか読めていない)にもキャラクターは意外といいヤツにしたりかわいそうな人間にすると読者の心を惹く……みたいなことが書いてあったのでそういうことかも。
しかしキャロル(とサイモン)はもっと空気読めや!!!!!!
キャロルはなんなの? 応える気なかったりメルビンに腹を立てていたにしてもメルビンにクッソ冷たくしてよりにもよってメルビン本人の前でサイモンに間接キスしたり「サイモンとの一晩で気分スッキリ!」っていったり、バスローブ姿でサイモンの髪を愛しそうに撫でたり、サイモンにキスして「愛してるわ」「僕も」って抱き合ったりサイモンに「電話して」っていったりおま、お前ええええええ~……!!
いくらなんでも自分に好意を抱いている本人の前でゲイとはいえ男とイチャコラすな。なんなんやこいつ。メルビンかわいそ過ぎるでしょ空気読んで。マジで。
まあいいたいのはそのくらいですね。
何度も観たい、って程ではないけど、確かに飽きないいい作品ではありました。
主人公に感情移入させるのがうまい作品でした。
という訳で100点中70点くらい。